低温やけど

まだお若い方なんですが、下半身の感覚が麻痺していらして、あんかでやけどをしてしまった、という方が昨日お見えになりました。

お正月におこしてしまったようで、掛かり付けであるうちの病院が休診だったため、当番医であった近くの病院にいかれたそうです。
なんか、不安なのでこちらの病院に伺いました、とのことでした。(別に私の評判を聞いて、というのではありません)

両下腿にしっかりした水疱が出来てます。
たしかにやけどです。

前の病院では、自然に潰れるまで待ちましょう、それまで、毎日消毒に来て下さい、といわれて、さらに水疱がつぶれないように、ものにぶつけないで下さいね、付け加えられられたとのこと。
だから、ぶつけないようにヒヤヒヤして、心配でたまらなかったとのことでした。

わたしは皮膚科ではないので、詳しいことは分かりません。ただ、私でも治療できる自信はあります。この病院に皮膚科がないので私でよければ治療させて頂きますが、もし、専門の先生がよければ、紹介しますよ。と伝えましたが、私でよいとのことだったので、治療させて頂きました。

水疱をつぶすと、その間にばい菌がはいってしまう、という危険はあります。だから、皮膚という防御膜を残すというのは確かに一つの考え方だと思います。もし、水疱が小さくて、時間もそんなにかからなさそうなら、それを選択するかもしれません、ただ、この方の場合は、約10cmほどの大きさでした。液もおおかったし、そのままにしておいたら、どれくらいかかるか想像もつきませんでした。

なので、その可能性を説明して、膜をやぶって排液しました。

つぎに消毒をどうするかですが、あまった皮は少し取り除いて、感染予防の為、軟こうをつけて、ガーゼをあてて帰っていただきました。

そして今日、感染がなさそうなこと、傷の状態を観察した上で、被覆剤をあてました。
これでお風呂にはいれます。

一昔前までは、傷といえば、消毒してガーゼをあてる、というのが常識でしたが、いまでは、消毒薬が傷の治癒をさまたげるということ、ガーゼをあてることによって、傷の治りが遅れる、という説がでてきています。

わたしも、一理あるなあと思って状況によってはそうしています。
いわゆる閉鎖療法です。

密閉してしまうと、ばい菌が繁殖するじゃないかという考えもありますので、状況によって使い分けてます。その辺は、センスの問題になるんでしょうか。

少なくとも、毎日消毒に病院に通わなくていいという点では患者さんに喜ばれます。もちろん、感染などの不利益を被らせると本末転倒なので、ちゃんとわきまえてはいますが、今のところ失敗したというのはなさそうです。

病院の経営者にとっては、毎日来てもらった方が利益は出るんですが、大きな目で見ると、そういう治療をしてくれる、という評判がたてば、そっちの方がいいと思うんですよね。

経営者になんか文句をいわれたら、そう反論しようと、思っている今日この頃でした。