秋の味覚。

MAMEZO2005-09-03

こんばんわ。
今日は3連直目です。
それもすべて病院がちがうので、移動も大変。。

まあ、それは置いといて。。

写真は、8月31日に行った杉山さんところで収穫させていただいた「ごちそう」です。

杉山さんとは、私がまだ研修医だったころに、入院してこられたかたで、それ以来お付き合いさせて頂いているので、かれこれ、10年になります。

研修医の時って、割と時間があったものだから、暇があると、受け持ちの患者さんところにいって、世間話をしていたんですが、そのなかでもかなり変わったかたで、よほど強烈なイメージだったんですね、いまでも、初めて話をした時の事を覚えています。

「ご機嫌いかがですか?」

って覗き込むと、自分たち、医者が読むような英語の論文を読んでおられました。あれ?自分の実家の近くの町で農家をしておられるんじゃなかったっけ?と思いながら、

「何を読まれているんですか?」

とたずねると、

「いま、葡萄を作ってるんだけど、土壌のpHをどれくらいにしたらいいかとか、散水量、窒素の量なんかはどれくらいにしたらいいのか、わからないので、論文をあたっているところなんですよ。」

と答えられました。
私も農業のことは良く知らず、適当に種や苗を植えて、適当に肥料をやって、土が乾かないように適当に水を散布して、草がはえないように除草剤を撒いといて、収穫して、出荷してるんだろうくらいにしか思っていませんでしたから、これはカルチャーショックでした。

なにも、医学だけが論文を調べて科学的に論拠をあげて、何かことをしようとしているわけじゃないんだな、と目からうろこが落ちる思いで、その時は、それまでの自分の考え方がすごく恥ずかしく思えて、早々に退散した記憶があります。

それから、毎日、杉山さんのところにいってはいろんな話を伺いました。

東京の外資系でばりばり働いていたこと、自分では考えもつかないような大きなお金をうごかしていたとのこと、そんな生活を捨てて、田舎で裸一貫、何の知識もないまま、農業を始めたこと。なにも恥ずかしがることなく、「自分は百姓だ」といってはばからない事。。

それまで、別に意識はしていませんでしたが、農家のかたが、「俺は百姓だ」と堂々といわれることで、「あんたは医者か、だから何だ?」といわれてたようで、(もちろん杉山さんはそういうつもりでいわれたのではないのですが。。)なんか、心がもやもやしたのを覚えています。

心のどこかで、「おれは医者だ、百姓さんよりもえらいんだ」と思ってたんでしょうね。

それを見事に打ち砕いてくださいました。

それからかもしれませんね、医者だって、ほかの職業とおんなじ、同じ地球上で生きてる人間なんだよなあ、って思い始めたのは。。

それから、いろんなひとと出会って、いろんな体験をして、それはますます確信にいたっていますし、医者として生きていくのではなく、医者の資格ももっている、ひとりの人間として生きていきたいなあと考えています。そう考えさせてくださった恩人の一人です。


うーん、前置きが長くなりますね。

杉山さんが、なぜ企業人間をやめられて農業をされるようになったのか、会社勤めを経てきたからこそみえてくる農業のありかたなど、「農で起業する」という本を書いておられますので、もし良かったら読んでみてください。

ちなみに、この本は現在9刷だそうです。発行部数、2万部。

この手の本では1万部売れれば大成功らしく、それが、2万部売れているものだから、編集部のほうが、第二段を催促しているそうです。

そんな杉山さんの観光農園に8月31日いってまいりました。

外来患者さんがお見えになりました。手を休めます。