77才の男性

おはようございます。
今日は77才の男性の方が外来でお見えになりました。数十年前に胃癌の手術をされ、その再発はないのですが、数年間に腸閉塞で、別の病院で手術をうけ、その後、当院で経過を見ておられる方です。

胃癌の再発に関してはもう問題ないと思うので、いまはもっぱら腸閉塞をおこさないようにするといった定期診察です。(もちろん、数十年前の胃癌の再発はないのですが、新たに残った胃に癌ができることや、大腸に癌ができることもあるので、一般的な検診はしますよ。)

その方は御自身で御飯を柔くしたり、おかずを工夫したり、食べない方がいい食品を自覚しておられたり、ほとんど、私達のアドバイスはもういりません、ただ、お薬も必要なので、外来に来て頂いている方です。

その方と今日はゆっくり話をすることができました。

これだけ几帳面なかたは何をしておられたんだろう、と思ったら、まだ、現役で商売をしているとのことです。
もともと演劇、劇団をしておられて、(奥さんは浅香満代さんのお弟子さんだったそうです)、数十年前に宮崎に来て、宮崎で演劇を続けられていた、その後、引退したけれども、その衣装や小道具をいまは、レンタルしているとのことです。

だから、年末年始も忙しいといわれていました。

いま、宮崎に@@劇場というのがありますけど、これも系列なんですか?ときくと、いや、違う。全然やることが違う、あん人たちがしてるのは金もうけ主義じゃもんな、昔は芸を見せて、喜んでもらいよったもんじゃが、もう今は違うもんな、といわれてしまいました。

わたしはその劇団を見に行ったことはなかったので、それはわかりませんが、確かに今は金もうけ主義ですものね、でも、今からは心をうる時代になるんじゃないでしょうか?
といいましたが、首をたてに振ってくれません。

いや、もういいとよ、私達、昔のことを知ってる世代はもうすぐ死ぬっちゃから、どんげでんいいとよ、先生も日本がつぶれんうちに海外に逃げちょかんといかんよ。と言われました。

確かにこのままだと日本は潰れてしまうと思います。
御高齢のかたはみなさんそう言われます。(先日の病棟でのおばあちゃんとの話もしました)
けど、私は日本が好きです。日本に生まれてよかったな、と思ってます、子供にもそう思って欲しいと思ってます。
そのためには声をあげないといけません。
御高齢のかたにその役を押し付けるのはコクな話です。
だから、自分達、若い世代が頑張って行こうと思ってます。

そう話をしたら、さっきまでの投げやりな話から一転して、これからの日本をどうしたらいいのか、何が問題か語って下さいました。

私は、医療以外のことは素人ですから、それ以外の分野についての意見は無理です。
けど、医療については普通のひとより少しは知っています。
ますは自分の知っている世界で疑問に感じることを少しづつでも改善できるように、まずは小さいわっかを作って、それが大きくなるように頑張っていきたいと思ってます。

とそう伝えました。

「じゃ、先生、たのむよ」といわれました。その言葉はとても暖かかったです。