昨日の出来事

昨日は胃瘻をつくりました。
脳硬塞などで自分で飲み込むことが出来なくなる方がどうしてもいらっしゃいます。
生命を維持するのにどうしてもカロリーは必要で、点滴のように静脈の中に直接入れる方法と、腸管を通して補給する方法があります。

腸管が閉塞している時はもちろんダメなんですが、どう考えても腸管を通して補給する方が生理的であるし、そちらの方が、栄養学的、免疫学的にも優れているとされます。

じゃあどうやって、腸管のなかに栄養を入れるのかということですが、口の中に詰め込んでも、飲み込めないのですから、つまってしまって窒息するだけです。

窒息しないためには、空気の入り口のところの先に栄養を入れればいいわけです。そこにスプーンを入れるわけにはいきませんから、そこまでチューブを入れます。そして、栄養を流し込むわけです。

けど、空気の入り口のすぐ先は、かなり敏感に出来てます。そこにチューブがあって、そこに液を流し込んだら、すぐむせ返してしまうし、たまったものではありません、どこに流し込むかというと、ずっと奥の方の、胃の中にチューブの先端をおいておき、流し込むのです。

じゃ、どこからこのチューブを入れるの?ということになりますが、もっとも手軽なのは、鼻の穴から入れることです。

鼻にチューブが入っているのはよくみられる光景だと思います。

けど、短期間ならいいんですが、(自分なら短期間でもいやですが)長期間になると、チューブがあたっているところは赤くなってくるし、なにより本人が鼻と、のどの奥に違和感を感じるはずです。(大多数の方は、意思表示がなかなか出来ないので、うまくつたわりませんが。。)

そこで考えられたのが、胃に直接チューブを入れたらいいのではないか、ということでした。

そうすれば、顔もスッキリするし、チューブが鼻から入っていることによる合併症もすくなくなる。。

はじめは、お腹をあけて、胃をすこし引っぱりだして、チューブを入れていましたが、今では内視鏡を使うことで、お腹をあけなくてもすむようになりました。

患者さんにとってはだいぶ負担は軽減されていると思います。

ただ、危険性として、いくら内視鏡でみながらといっても、お腹を刺すわけですから、他の臓器を刺してしまう危険性もあります。

そこで最近は首のところで食道に刺すことでその危険性をさらに少なくすることができるようになりました。

これをみられた方の身内で鼻に入っているけど、なぜ胃瘻をしてくれないのかって思う方があるかもしれません。
危険性は大分少なくなったとはいえ、食道を通して行うのはまだ、一般的ではありませんし、多かれ少なかれ危険を伴います、また、胃瘻はどうしても選択できない、というケースもあります。

もし、疑問があれば主治医の先生と話してみられるのがいいと思います。