妹へ

先日、初めてコンサルティングしたという話を書きました。コンサルというよりカウンセリングなのかもしれません。

妹のぴーちゃんが、あとでこの日記を読んで、思い出すように、記憶をたどりながら書いておきます。

彼女は私より6歳下の28歳です。薬剤師さんをしています。静岡の大学をでて、宮崎に帰ってきました。もう働きはじめて、数年になります。(詳しくは忘れました、というよりあまり考えていません)

はじめは、いろんな薬を扱いたい、いろんな科の病気を知りたいと言うことで、総合病院の薬局を探しましたが、あまり大きいところだと、組織が全面にでてしまって、やりにくいということで、少し大きめの、外科、内科、脳外科があるところで働き始めました。

一年働いたところで、宮崎の地元で調剤薬局を経営している親戚がいるので、その系列の薬局に請われて就職することになりました。
はじめは、一介の薬剤師として働いていたのですが、2ヶ月くらい前に、その薬局の薬局長に任命されました。雇われではあるのですが、立派な一国一城の主です。経営者です。

その薬局長を引き受けるかどうか、というときにも相談を受けていましたが、自分の成長のためにも引き受けるべきだ、専門職としての薬剤師という立場、視点と、経営者としての視点、人を引っ張って行かなくてはいけないという責任感とすごくいい経験なので、ぜひやってみたらいいんじゃないか、と勧めました。

その後、傍目にみても忙しい時間を過ごしているようでした。

そのうちに、先日、うちに遊びに来たいというので、これはなんかあるんだろうということで、じっくり話を聞くことにしました。

彼女の悩みとは
「ひとり、職場の環境になじめない薬剤師さんがいて、どうも引きこもっているようだ。」
「みんなが、今回の薬局長はどうも頼りないと思っているようで、それが、言葉の端々に見てとれる」
「場になじまない薬剤師さんを、経営者であるおじさんが、別の薬局に配置転換するらしいが、その責任を感じている」
「新しい薬剤師さんを、いまの薬局に配置するらしいが、自分に相談がない」

こんなところでした。
いままで、リーダーシップをとるトレーニングを積んできていないのに、いっぺんに数人の人を束ねないといけないのですから、大変です。

まずは、このような経験をできることに感謝しよう。ふつうの薬剤師のままだったら、人との関係や経営のことについて考える機会はほとんどない、毎日、いかにサラリーをもらうか、いかに偉くなろうか、と考えるのに精一杯で、ここまで考えることはあまりないと思うよ。

そして、いまの現象について、いろいろ悩んだだろうけど、それも必要な課程だったんだと思うよ。ちょうど、自分もひととのつきあい方、接し方、経営者としての視点を勉強しているところで、いろんな人と話をしているから、すこしはアドバイスできる、あなたが、自分で考えてきたからこそ、いまから僕が言うことは、ひとつひとつあなたの心に響くと思う。

同じ言葉、同じ景色をみても、感じるものは人それぞれ違うから、、いまのあなたは僕の話をきく資格があると思う。

まず、今回の薬局長は頼りないと思われている点についてだけど、いままでの、薬剤師という立場から、薬局長になって、薬局の方針は、みんなにどう伝えたの?

妹「自分は薬局長になったけど、一人ではなにもできないから、みんなで協力してやっていきたい、何もかも報告して、行動するのではなくて、自分で考えて行動してほしいと伝えた。」

確かに自分で考えて自分で行動するというのは正しいと思うし、ひとりでやれないから、みんなで分担して、、というのも正しいと思う。じゃ、薬局長として、何をしたの?

妹「。。。」

もし、僕の意見を言わせてもらえれば、薬局長として、薬局の信念を掲げてやるべきだったんじゃないだろうか、つまり、何よりも患者さんのための薬局、患者さんがきたときに心休まる薬局、みんなで向かうものがないと、進めないよね。そして、その信念を達成するためには、スタッフを一生懸命守る、ときには経営者と議論しても闘うことも必要だったんじゃないだろうか。

いまの経営者であるおじさんは、そういう信念のためになら、いうことを聞いてくれると思うよ。もちろんあんまりにも採算が合わないときは、個人的に話をして、スタッフも経営者も顔が立つように振る舞うというか、演技も必要だったんじゃないかな、
単に、自分は何も出来ないから、みんなでやりましょう、自分で考えて行動しましょうでは、確かに頼りないよな。

さて、次、なじめない薬剤師さん。。

なじめなくなった理由はここでは割愛。

なじめなくなったのは、仕方ない、これからどうするかが問題だよね。これに対してはどうしたの?

妹「この前、直接電話して、腹を割って話そう、本音でぶつかろうって話をした」

ふーん、で、その後どう?
妹「はじめはよかったけど、また同じ」

かもね、そのときの電話って、お互いに直球勝負だったんでしょ、あなたは自分の立場、自分の思いを伝えた、彼女も自分の思い、立場をつたえた。なかなか交わらないかもね。

僕の意見を言わせてもらうと、あなたが、彼女の立場にたって、彼女の思い、考えを分かってあげて、それをあなたの立場にてらして、出来ることと出来ないことを判断する、そして、自分の思う方向に彼女の考えを持って行くようにしないと、きっと平行線のままだろうね。

ただ、問題はあなたが、その件について、くよくよしていること。

何事も原因と結果があると思ってるのはいつもいってるよね。

彼女が今回転勤せざるを得なくなったのも、いままで、彼女が自分の立場でものを捉えていたため、もし、彼女が薬局のために、患者さんのためにものを捉えていたのであれば、引きこもるよりも、笑顔で患者さんに接するべきだと気付いていたはず。それをせずに、今までいたということは、転勤させられても仕方がない、あなたも、彼女の立場にたって考えてあげれなかったんだからこれも仕方がない。

大事なのはこの結果を、次にどう活かすかだと思う。
幸いあなたは、ちゃんと話を聞く準備があったから、今回の結果をうけて、次は失敗しないように明日から歩いていけるでしょう、彼女は今回の件でもまだ気がつかないかもしれない、あなたのせいにするかもしれない、会社のせいにしてやめてしまうかもしれない、それは仕方がない、そこまで責任を負っていたら、身が持たない。

あなたにとって重要なことは、あなたが任された薬局を、あるいはその薬局を訪れる人をハッピーにすることではないのかなあ。。

それに経営者に不満があるようだけど、経営者の立場に立ってごらん。そして、おじちゃんを信じてごらんよ。別のことがみえるはず。
そして、他人から何かをしてもらおうって期待してはだめ、自分がしてあげなきゃ、他人に期待しても、100%満足することはあり得ない、そうすると、99%よくしてもらっても1%を不満に思ってしまうもんだよ。

自分からなにかをして、してあげれることに喜びを感じることが出来るようになったら、世界がかわるよ。
がんばって。

と締めくくりました。

さてさて、長い話になりましたね。これを読まれた人もいるのでしょうか。もし、そうだったら、長い話におつきあい頂きありがとうございました。

それにしても、こうやって、妹にアドバイスが出来て、それが正しいかどうかは別として、とても幸せでした。
こういう機会を与えてくれた、妹、おじさんにも感謝してます。
そして、この数ヶ月いろいろ考えさせてくださったみなさんに感謝します。