100歳の方を紹介して頂きました。
食思不振と時折吐くので、X線をとったら小腸にガスがあるということでした。

通常、小腸内にはガスはたまりません、食べ物と一緒に飲み込んだ空気は胃の中にたまって、げっぷとしてでたり、小腸に入っても、すぐ大腸にいってしまいます。
それが、小腸にあるということは、どこかつまっているということです。
いわゆる腸閉塞です。

以前にも書きましたが、原因でもっとも多いのは、手術後の癒着が原因でおこる癒着性のものが多いのですが、今回はCTなんかをしたところ、どうも、その徴候はありません。加齢で腸の動きがわるくなって、単にガスを大腸に送れなかっただけのようです。

腸を動かす薬をうまいこと使いながら、経過を見ていきたいと思います。

それはともかく、御家族のかたとお話をしました。

娘さんも大分御高齢なのですが、一番の思いは『100歳まで生かして頂いて、本当に有り難い』と思っています、とのことでした。

わたしも、腸閉塞や胸水や、心不全などを中心に考えれば、そのあたりの薬をのんだり、点滴したりすれば改善すると思います。もちろん、本人の苦痛がないように、いまの苦痛をとってあげれるように、最大限の努力をするつもりです。(外科の仕事ではないのですが。。)

けど、この100歳の方の人生を考えると、いまはどういう時期なんだろうと悩みます。
この方に、お伺いしたいなあ。。いまはじっと目をつぶり、言葉はしゃべれません、話しかけても、何も言葉としては答えて下さいません。

無言の問いかけなんでしょう。自分で考えなさいということなんでしょう。
100年いきてきて、何を思うのか。

自分の人生の総括をしておられるのか、心の目で私達をじっとみておられるのか、それはわかりません。

わたしのまだまだ到達できない領域です。
何かに気付くことができるのか、私にできることを精一杯やってみたいと思います。

その思いは、娘さんにも分かって頂きました。
「いつ、寿命がきてもいいように、みなさんの心の準備はしておいてくださいね、わたしも、後悔しないようにしたいと思います。」

こうやって、人生100年、最後の生きざまを見せていただける、人生の最後について考えさせていただける。。本当にありがたいことです。