経営者と従業員

昨日、辞職させていただいた施設での話です。
わたしを引き留めてくださる話が終わった後、時間は気になっていたのですが、これもチャリティだと思って、そのスタッフ(看護師長さんでしたが。。)と話をしました。

改めて、私を引き留めるのはなぜですか?とお聞きしました。
この今までいい人材を失ってきたから、同じことを繰り返したくない、というものでした。

では、その原因は何だったんでしょう?と聞いたら、その施設では正社員とパートという雇用形態があって、給料がだいぶ違う、そのために正社員はあまり働かなくてもお給料がもらえるので、一生懸命さが足りない、パートの人は一生懸命働かないといつ首になるか分からないので、一生懸命こなそうとはするけれども、仕事は正社員よりするのにお給料が少ない、だから、出来るだけ手を抜こうとする。

そうすると、職場全体が活気がなくなり、やる気のある人たちはどんどんやめていってしまう、そうすると残った人たちがますます大変になる。

それを理事の人たちは分かってない、だからパートも正社員もお給料が同じになるようにしてくれればいいんだけど、なかなかしてくれない。

という主旨でした。

どう思われますか?

従業員の視線でよく状況を分析していると思います。おかしい、という状況を感じたというのはすごく前進だと思います。
少なくとも大多数の人はお給料さえもらえればいい、首にならなければいい、というだけで、何となく働いているだけですから。。

それはともかく、状況の分析はいいと思いますが、経営者にその視点でものをいっても、まず聞いてくれないでしょう。
いい経営者なら、そこまで考えてくれているのか、でもそれではいい解決にはならないから、一緒に考えようといってくれるかもしれません。
私ならそうします。そうやって、会社のために考えてくれている人を大事に育てたいからです。

でも、この施設の経営者はそうはいわないでしょう。そんなのはだめだ、っていうでしょう、もしかすると、そんな生意気なことをいうんだったら、やめてください、ということになるかもしれません。

もし、わたしがその婦長の立場であれば、視点を患者さん、施設の利用者にもっていきます。

いまのサービスで満足しているか、もっといいサービスを提供できるのではないか、そんなサービスを提供したい、と思うんです。
いまのサービスで利用者が満足しているのなら、施設自体はうまくいってるのでしょう、あとはスタッフの気持ちの持ちようです。困っている人を助けたい、老人にすこしでも笑いや楽しさ、心地よさを提供できて、うれしい、という気持ちをもてるように、スタッフの教育が第一になると思います。

しかし、利用者が満足していない、あるいはもっといいサービスを提供したいと思うのなら、それを実現するためにはどうしたらいいか、それはスタッフのモチベーションを上げることかもしれないし、利用者からの声をくみ上げることかもしれない、あるいは利用者の家族も含めて、何か新しい試みをしないといけないかもしれないし、スタッフのやりがいを、お給料だけでなく、内面的なものにも注意をむけさせないといけないかもしれない、それを試行錯誤やった上で、理事長の協力が必要であれば、直談判するべきではないでしょうか。
その際には、腹をくくって直談判しないといけないかもしれません、ただ、正論だけでは通りません、理事長のプライドをくすぐりながら、経営的な落としどころも考えながら、いわゆる政治的に動きながら交渉しないといけません。
もちろん、一人では出来ません、いろんな協力者を募ることです。
そのときに大切なのはやはり、利用者のため、町民のためという信念だと思います。
その信念のもとにひとは集まるものだと信じてます。

私が骨を埋めるつもりなら、がんばって残って協力しますが、こんなにあつく思っている方いる
ということは、本当に自分がいる意味はなくなりました。もちろんなにかあったら協力しますので、是非がんばってください。
そして、もし、そんなすてきな施設になったら、私の方から一緒に働かせてくださいとお願いにきますね、ということになりました。

わたしも、まだ従業員のひとりですが、経営者になろうと考えたときからそういう考えもできるようになりました。

みんながみんななるわけではないと思いますが、それを目指す人には必要な視点ですよね。