以前、摘便のことを書きました。

摘便はやっていることがやっていることだけに、やっているそばから「すいませんねえ」と恐縮がられたりします。

もっとも、やりはじめる時はお腹がはって、苦しいわけですから、それどころではありません。

時間がたち、においが充満してくるにつれ、症状も楽になってくるようです。

そして、終わって体制を整えるころには笑顔になって「ありがとな」と声をかけて下さいます。

このように、何かをやったそばから感謝されることって、結構少ないんですよね。

風邪の患者さんを診て薬を処方したにせよ、すぐによくなるわけではなく、しばらく様子を見てもらわないと行けません。その間は咳もつづいて、熱も下がりきらないし、本人はきついだろうなあ。。がんばってくださいね。。って気持ちで診察室を出ていかれる患者さんの後ろ姿を見送ります。

ありがとうございました。。といってもらえるのですが、患者さんとしては症状もまだよくはなっていないし、医者自身もそうやって心配の種をまた一つ抱えて診察を終えます。

そんななか、もう一つ、やったそばから感謝される疾患があります。

小児の肘内障です。

まだ肘の関節が未熟なため、上にひっぱると亜脱きゅうしちゃうんですね。

よく、おじいちゃんが手をとってぐるんぐるんまわしたり、おもちゃをねだる子供をひっぱりあげたり、はたまた、つまずいて体制を崩しそうになった子供をひっぱりあげたりしたときに起こります。

かなり痛いようで、ほとんどその腕を動かしてくれません。御両親が動かそうとすると、すごい勢いで泣き叫びます。

治療としては、ちょっとしたこつをつかって、こくっと整復しちゃうんですが、入れたとたんに、腕をあげ始めます。

これは、両親が喜んでくれます。



というか、ほかにあんまり思い付かないんですよね。
症状を聞いて、原因は何なのか診断して、それに見合った処方なり、処置をする。。

それがよかったのかわるかったのか、その結果が出るまで、新しい患者さんと出会う度に、お医者さんってストレスを感じ続ける職業なんだなあ、そして、その分、やりがいのあるお仕事だなあと思うわけです。