「お前、それって痔じゃねーの?」

学校の帰り道、話を途中でさえぎって和夫が興奮気味に叫んだ。

「かずお、声が大きいよ。。」

「あ、わりい。。んでも、気にすっことねーんじゃねーの」

「いやあ、でもよ、腕とか足だったらいいけど、おしりだかんなあ。。」
かずおのリアクションに救われた気もしたが、なんだか真剣に聞いてくれてないようで、打ち明けた事をちょっと後悔し始めていた。

「それに、ほんとに痔かなあ。。」

「間違いないね。。父ちゃんも、よーく、痔が出て痛い。。っていってるから、きっと汁が出てるのも一緒だよ。。」

「父ちゃんか。。そうだよな、高校生で痔はないよな。。」

「まあな。。んで、痛いもんなん?」

「うーん、それが、痛かったり痛くなかったり。。汁が出なくなったと思ったら、2,3日して痛くなって、また汁が出るんよ。。汁が出ると傷みはなくなるんやけどね。。」

「へえ、そんなもんなんかな。。」

「それはそうと、お前んとこのおやっさんはどこの病院にいきよるん?」

「うんにゃ、母ちゃんは行け行け、言いよるようやけど、めんどくさいちゅうて、病院にはいっとらんのやないかな。。」

「んで、どうやって治療しよるん?」

「仕事場の近くで薬買ってきよるんやないかなあ。。たぶん、親父も恥ずかしいんやと思うわ。。ほら、うちの近くに薬屋あるやん、あそこで買えばいいとに、この前なんか、わざわざ車に乗って買いに行きよったじ。。」

「はは。。」

和夫の笑いにのって笑ってはみたものの、明日はわが身である。。全然他人事ではない。。

「んで、なんちゅう薬?」

「知らん。。」

「。。」

どこまでも明るい和夫も、さすがに淑晶の必死さが伝わったようで、

「こ、こ、こんど、ちゃんと聞いてくるわ。。」


それでも、もしかすると病院にいかなくてもいいかもしれない。。と聞かされただけで、かなり淑晶の気分は晴れた。

もっとも、間違った情報で、余計に今後の治療を難しくしてしまう結果になってしまったのだが。。